
転職で本人希望欄は何を書けばいいの?



書き方を知りたい!



書いた内容で落とされることはある?
このようなお悩みがある方も多いのではないでしょうか。書き方を間違えることでマイナスな印象になることは避けたいですよね。
特に希望がなければ「貴社の規定に従います」と書くのが一般的です。入社可能日や勤務希望地など譲れない条件がある場合のみ記載します。
この記事では、転職履歴書の本人希望欄での基本原則、書いてよいことや書かない方が良いことまで解説します。
最後まで読めば、自分に合う最適な書き方がわかり、自信を持てる書類を作れるようになります。
本記事のライター:伊藤えま
採用・人事歴10年以上。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)取得済み。採用統括責任者として現場で得てきたリアルな知見を、発信している。
転職の履歴書で本人希望欄に何を書く?基本ルール


たいていの転職の履歴書には「本人希望記入欄」として希望を書ける項目が設けられています。基本原則と面接で伝える希望との違いを把握しておきましょう。
転職履歴書の本人希望欄を書く基本ルール
本人希望欄は、特に希望がなければ「貴社の規定に従います」と書くのが一般的です。
求人には、勤務日や勤務時間、給与などの雇用条件が記載されており、その条件に納得した上で応募するのが前提とされているからです。規定に従うとすることで、企業が提示している条件を理解し、入社を強く希望している意思を伝えられます。
勤務地の候補が複数ある求人や、入社可能日がある場合など、入社にあたり譲れないマスト条件がある場合のみ履歴書に書きます。ただし、内容や記載する数により悪い印象になる可能性があることを理解しておきましょう。
規定を承諾する応募者と、条件をいくつも書いてある応募者とでは、採用担当者の心証はどちらが良いかを考えればわかりやすいでしょう。記載する内容によりマイナスイメージとなることがあるため、書く内容は慎重に選んでください。
履歴書に書くべき内容と面接で伝えれば良い内容の違い
履歴書と面接どちらで伝えるべきか迷ったときは「マスト」と「ベター」の違いで考えます。マスト(譲れない)条件は履歴書に記載して、ベター(より良い)条件は面接で伝えましょう。
マストな条件を履歴書に書くことで、企業は書類選考の段階で自社に適した人材か判断可能です。条件への合致が早めにジャッジされることで、転職活動の効率化が期待できます。
それに対して、より良い条件は優先度合いやニュアンスが大切なため面接で詳しく伝えるのがおすすめです。面接官の話を聞きながら柔軟性も含めつつアピールができます。「〇〇支店を希望していますが、会社の指示に柔軟に対応いたします」といった融通性も伝えられます。
マスト条件を事前に履歴書に記載しておくことで、書類選考を通過すれば、その条件が企業に受け入れられていると判断できます。これにより、安心して面接に臨めます。
【例文付き】転職履歴書の本人希望欄に書いて良いこと4選


本人希望欄に書いても良い内容について、例文とあわせて解説します。
希望職種を書くとき
職種を限定している求人であれば、特に記載する必要はありません。総合職など職種が限定されていない求人で、特定の希望職種がある場合は、履歴書に書いても問題ありません。
例文
これまでの営業経験を活かし、営業職を希望いたします。
学んできたマーケティングの知識を活かし、広報・マーケティング職を希望いたします。
長年培ってきた事務スキルを活かし、経理事務職を希望いたします。
希望勤務地を書くとき
勤務地候補が複数ある求人で、希望する勤務場所がある場合は履歴書で伝えましょう。
例文
現住所から通勤可能な〇〇営業所での勤務を希望いたします。
Uターンを検討しているため、〇〇県での勤務を希望いたします。
〇月頃に〇〇県へ転居予定のため、〇〇支店での勤務を希望いたします。
在職中など入社可能日を書くとき
在職中などすぐに入社ができず、入社可能日がある場合は履歴書に書くのが一般的です。
現在在職中で引き継ぎの都合上、〇月〇日以降に入社可能です。
現職で退職に向けて調整中となり、〇月中旬頃に入社可能です。
〇月末まで現職での繁忙期のため、〇月〇日以降に入社可能です。
有給休暇を消化したい場合の入社可能日は、そのまま書くのではなく、伝え方を工夫しましょう。有給消化は応募者だけの都合であり、強く主張すると「相手の都合に配慮する姿勢がない」とマイナス評価になる可能性があります。有給消化してから入社したい場合は「現職の都合上、〇月〇日以降に入社可能です」のように伝え方を工夫することで、マイナスな印象を避けられるでしょう。
子育て中など勤務時間の希望を書くとき
子育てや介護などの理由で、勤務時間に制限がある場合は履歴書に書いて、事前に応募先に伝えておきましょう。最近では「短時間正社員」として、フルタイムの正社員より所定労働時間が短い雇用契約制度を導入する企業も増えています。
子供の送迎があるため、9時〜17時までの勤務を希望します。
介護の送迎を見送る必要があるため、9時半からの勤務を希望いたします。
転職の履歴書で本人希望欄に書かない方が良いこと3選


内容によっては、履歴書に書くことで悪い印象になることもあります。ここでは、書かない方が良いことを見ていきましょう。
給与や待遇に関する希望
1つ目は、給与や待遇に関する希望です。金銭面の交渉は、内定をもらってから行うのが一般的です。
選考の段階で希望を伝えると、お金の条件だけで応募先を選んでいるように見られる可能性があります。特に書類選考の段階では、応募者の人柄や背景も見えづらいため悪い印象になりやすく、採用を見送られるかもしれません。
内定をもらってから希望を伝えた方が、交渉が有利に進められるメリットもあります。「入社して欲しい」と企業から高く評価されているため、ある程度の希望は通りやすい状況だと言えるでしょう。
前職の不満やネガティブな理由
2つ目は、前職の不満やネガティブな理由です。不満やネガティブな理由を書くことで「不満があればすぐにまた辞めてしまうかも」と不安視される恐れがあります。企業は、長く働いてくれる人材を求めているため、短期離職が懸念される応募者は採用を見送る可能性が高くなります。
本人希望欄は、今後に視点を置いた項目のため、相手に配慮をしたポジティブな内容にすべきスペースです。前向きな言葉に言い換えて伝えるようにしましょう。
曖昧すぎる希望
3つ目の書かない方が良い内容は、曖昧すぎる希望です。不明確で曖昧すぎる希望は、採用担当者を「この人は具体的にどうしたいの?」と迷わせてしまうかもしれません。
「働きやすい環境を希望します」「人間関係が良好な職場を希望します」のように誰もが希望するだろう内容は書く必要はありません。企業から意味がない内容と判断されます。曖昧なことを書くのではなく、履歴書は空欄とし、面接であなたが希望している環境かどうかを確認すると良いでしょう。
転職履歴書の本人希望欄を書くときに注意すること


本人希望欄を書くときに注意すべきことがあります。
まず、希望内容は短くシンプルに書きましょう。履歴書は誰が見てもわかりやすい内容とするのが前提です。希望する背景や補足がある場合は、面接で直接伝えましょう。
つぎに、希望だけではなく「なぜ希望するのか」理由もあわせて書くことです。理由を書くことで、採用担当者に納得してもらいやすくなります。理由がないとただ一方的に希望条件を伝えているように思われ、配慮が不足している印象となるかもしれません。
また、書く内容の選び方も重要となり、書いた内容によって選考に不利になる可能性があります。選考にあたって必ず伝えておきたいマストな条件がある場合にだけ希望を書くようにしましょう。
転職履歴書の本人希望欄に書きすぎると不利になる?


本人希望欄に希望を書きすぎると、選考において人柄を懸念されることがあります。
「貴社の規定に従います」と書く応募者が多いため、希望を書きすぎることで悪目立ちし、こだわりが強く柔軟性がないと悪い印象になるリスクがあります。
書類選考は履歴書や職務経歴書など応募書類だけで、応募者を比較して選考を進めます。記載の情報には限りがあるため、記載された内容一つで応募者の印象や評価に大きく影響します。文章の中で優先度合いやニュアンスを伝えることが難しく、場合によっては思わぬ誤解をされてしまう可能性もあります。
書くか迷ったときは、面接で直接希望を伝えることで、悪い印象を与えるリスクを大幅に減らせます。
転職履歴書の本人希望欄のよくある質問や疑問
よくある質問や疑問をまとめました。
- 転職履歴書に志望動機の欄がない。本人希望欄に志望動機を書いて良い?
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項目の趣旨と違う内容を書くと「趣旨が把握できない」として能力不足と判断される可能性があります。志望動機は書類選考で重要視されるため、志望動機の欄があるフォーマットに変えた方が安心です。
- 転職履歴書の本人希望欄に「長期勤務を希望します」と書くのはOK?
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「長期勤務を希望します」と書くのは問題ありません。むしろ企業によっては好印象になる場合もあります。ただし「長期勤務を希望します」だけでは相手の印象に残りづらいため、理由もあわせて書くことが大切です。「貴社の理念に深く共感しているため、長期勤務を希望します」といった理由を伝えることで採用担当者の心を掴める内容になります。
- 転職履歴書が空欄だとマイナス評価になる?
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空欄でもマイナス評価にはなりません。しかし、空欄より一言記入した方が丁寧な印象を与えられます。
まとめ|転職履歴書の本人希望欄に書く内容は慎重に選ぼう
この記事では、転職履歴書の本人希望欄の書き方について解説しました。
「貴社の規定に従います」とするのが慣例ではありますが、譲れない希望であれば、履歴書に書くことで、結果的に転職活動が効率的に進む効果も期待できます。ただし、書く内容や数によって悪い印象になることもあるため注意が必要です。
履歴書と面接のどちらで伝えるのが適しているのか、希望が「マスト」か「ベター」かで選んでみましょう。



