退職を言い出せないときの対処法|怖さを和らげる準備と例文集

退職を言い出せないときの対処法|怖さを和らげる準備と例文集
記事まとめ(要約)

・退職を言い出せない理由と対処法

・退職を言い出せないまま仕事を続けると起こるデメリット

・退職を言い出せない人が試すべきコツ

・退職を言い出すときに使える例文集(例文

退職したいけど言い出すのが怖い

人手不足だから退職が言い出せない

上司に引き止められそうで退職が言い出せない

このようなお悩みがある方も多いのではないでしょうか。退職を伝えるのには勇気がいりますよね。

退職を言い出せず悩んでいる方向けに、言い出せないよくある理由と対処法試すべきコツすぐ使える例文まで解説します。

最後まで読めば、気持ちの整理と事前準備をして、退職を言い出す勇気が持てるでしょう。

本記事のライター:伊藤えま

採用・人事歴10年以上。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)取得済み。採用統括責任者として現場で得てきたリアルな知見を、発信している。

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目次

退職を言い出せないよくある5つの理由と対処法

退職をなかなか言い出せない人には理由があります。よくある理由には以下のようなものがあります。

  • 周りの人への申し訳なさ・罪悪感
  • 引き止められるのが怖い
  • 人手が不足している
  • 会社の雰囲気が怖い
  • タイミングが難しい

それぞれについて対処法を詳しく解説します。

周りの人への申し訳なさ・罪悪感

業務を教えてもらった上司や先輩に対して、恩を仇で返すようで申し訳なく思い、退職を言い出せないこともあるでしょう。入社してから指導をしてもらったことを思い出してしまい「裏切りになるのでは」と考えるとなかなか言い出せません。

仕事はあくまで契約の上で行っており、退職も労働者の権利としてあるため、申し訳なさや罪悪感を感じる必要はありません。もし、指導してもらったことに対する罪悪感を感じるようであれば「今後も教わったことを活かしていく」と伝えることで罪悪感が和らぐでしょう。さらに「挑戦したいことが見つかった」のように前向きな理由であれば、相手に理解してもらいやすくなります。

引き止められるのが怖い

退職を言い出すと「辞めないで欲しい」と会社から引き止められる場合があります。引き止められても断れるか自信がなく怖いと感じる人もいるでしょう。特に業務が属人化(特定の社員のみが対応できる業務がある状態)している場合は、退職により業務が滞りやすいため引き止められる可能性が高まります。

退職のニュアンスを「相談」ではなく「意思」として相手に伝えましょう。退職する強い意思が伝わり、相手に認めてもらいやすくなります。「退職したいと思っていて……」と切り出すのではなく「〇月〇日で退職します」と明確に退職する心構えを伝えるのがポイントです。

人手が不足している

売り手市場が続いており、人員が不足している職場も少なくありません。人手不足の状態で退職を言い出すと、さらに周りの人へ過重な負荷をかけるとして言い出すのを躊躇う人もいます。退職者がでることで一人ひとりへの業務の負担がさらに増えるため、申し訳なさから言い出せないでいます。

人材が採用できず、社員に過度な負担がかかっているのは、会社の責任です。社員ひとりが背負う責任ではないため、労働者が職場に配慮して退職を躊躇う必要はありません。周りの人に迷惑がかからないよう、マニュアルの作成や十分な引き継ぎ期間を確保することで、十分に責任を果たしているといえます。

会社の雰囲気が怖い

退職をなかなか認めない会社の体質があると言い出しづらくなります。特に、経営者や上司が威圧的な環境では切り出すのが難しく感じるでしょう。退職者が会社と揉める場面や、退職者を悪く言うのを見聞きすると、退職を言い出しづらく怖いと感じるものです。

労働者は民法627条1項で、退職を申し入れてから2週間すれば退職できるとされています。退職は法律でも認められている行為で、会社に拒否する権利はないことを知りましょう。トラブルになっても有利に進められるよう、やり取りを都度メールやチャットなど残る方法で証拠として残しておくと安心です。

タイミングが難しい

上司が多忙で話すタイミングを見つけるのが難しい場合もあるでしょう。上司だけでなく自分も外出や出張が続き、なかなか落ち着いて面談できる機会がなく、タイミングを見失うことも。また、プロジェクト中や繁忙期など時期的な問題で、切り出しに迷うケースもあります。

繁忙期やプロジェクトなど区切りの良い時期が事前にわかるのであれば、区切りが良いタイミングを狙うのも良いでしょう。しかしながら、先行きが不透明で落ち着くタイミングがわからない状態では「今が最良のタイミング」として割り切ることも大事です。

周りに迷惑をかけないために、退職はなるべく早めに伝える必要があります。退職日まで余裕を持つことで、会社は人員配置や後任の人選などの対応する余裕ができます。

退職を言い出せずに仕事を続けると起こる3つのデメリット

退職を言い出せないまま仕事を続けると起こるデメリットがあります。

転職が難しくなる

年齢制限が設けられている求人も多く、年齢を重ねるごとに転職先の選択肢が狭まり、転職が難しくなります。特に未経験の職種に挑戦する場合、若手の方が育てやすいとして、若い応募者の方が有利になる傾向です。

求人では、年齢制限を設けることは原則禁止されています。しかし、「未経験者可」や「キャリア形成」など例外的に認められているケースがあり「30歳以下」や「35歳以下」といった年齢制限のある求人は多く見られます。退職の後ろ倒しにより、応募できる求人の選択肢が減り、希望する転職先を見つけられないかもしれません。転職活動を始めるタイミングを逃すことで、年齢的に転職で不利になる可能性があります。

心身の不調に繋がる

「仕事を辞めたいのに辞められない」状態が続くと、強いストレスがかかります。その負担が長期的に続くと、頭痛や胃腸トラブル、不眠といった身体症状や、うつ病や適応障害などの精神疾患につながるリスクがあります。

精神疾患を発症した場合、治療が長期に渡ることも多く、完治が難しいケースもあります。その場合、仕事もままならず退職を選ぶこととなり、転職先を探すのも難しくなるかもしれません。体調に変化が出る前に、行動に移すことが大切です。

人生の充実度が下がる

辞めたい仕事を無理して続けていると、人生全体の充実度が下がってしまいます。仕事に費やす時間は長く、ストレスは私生活にも影響するからです。自分の希望ではない「会社に合わせて我慢する時間」は後悔に繋がるかもしれません。

仕事への姿勢にも影響し、向上心もなくなり成長の機会を逃すことで、今後のキャリア形成に影響する可能性もあります。モチベーションの維持ができず、未来のために時間を費やす気力が持てなくなります。

仕事はお金を稼ぐ手段ではありますが、それによって私生活が犠牲になるのは本末転倒で、仕事は人生を豊かにする手段であるべきです。

退職を言い出せない人が試すべきコツ3選

退職を言い出せないで悩む人に、試して欲しいコツがあります。

  • 5年後・10年後の姿をイメージする
  • 事前準備をする
  • 最悪のケースを想定しておく

それぞれ具体的に見ていきましょう。

5年後・10年後の姿をイメージする

今の職場で仕事を続けた5年後・10年後の姿をイメージしてみましょう。

もし、現在の務め先で将来活躍している姿がイメージできないなら、退職する気持ちの後押しになります。今が「なんとか我慢できている」環境でも、10年後も同じような状況なら、同じ職場で働き続けるのは難しいと判断できるでしょう。退職の理由が職場環境にある場合、社員一人で変えられる範囲には限度があり、環境を変えるには転職が唯一の手段となる場合もあります。

たとえば、慢性的な長時間労働やサービス残業が常態化している職場では、社風で残業は当たり前とされていることもあるでしょう。この場合、個人が努力しても会社の仕組みを変えることは難しく、努力したことで人間関係や社内評価に悪い影響を与える可能性もあります。

10年先も同じ環境で仕事を続けられるか想像することで、退職する意思の支えとなります。

事前準備をする

退職を言い出すための事前準備を進めましょう。事前準備で気持ちが整理され、安心して退職を言い出しやすくなります。

退職を言い出す前に、下記のような準備をしておきます。

  • 伝える退職理由を考える(本音ではなくタテマエでも良い)
  • 引き継ぎにかかる期間を踏まえて退職日と有給消化の希望を決める
  • 退職を切り出す場所やセリフを考える
  • 退職届を作成する
  • 伝えるタイミングを見極める

言い出す内容や流れを決めておくことで、感情的にならず冷静に伝えられます。

最悪のケースを想定しておく

退職の交渉では、会社から予期せぬ対応や提案をされることもあります。事前に様々なケースを想定しておくことで、心構えをして不安が和らぎ、言い出す勇気がでる効果が期待できます。ケースごとに対処法をチェックしておくことで、実際に起きた場合でも冷静に対処可能です。

たとえば、退職を言い出すことで、職場に居づらくなることもあるかもしれません。業務の引き継ぎを済ませれば契約上の責任は十分果たせるため、もうすぐ終わる関係と割り切ることで心理的負担も軽くなります。新たな環境に行くためのひとつのステップとして捉えましょう。

退職を言い出すときに使える例文集

退職をどのように言い出したら良いかわからない方もいるでしょう。退職は対面で伝えるのが基本となり、面談を依頼面談で伝えるのが一般的です。体調不良などにより対面で伝えるのが難しい場合は、メールで退職を伝えることもあります。ここでは、退職を言い出すときに使える例文をご紹介します。

面談を依頼するときの例文

お忙しいところ恐れ入ります。ご相談したいことがあり、30分程度お時間をいただけますか?

私事で30分程度ご相談したい件があるので、ご都合をお伺いできますか?

退職の切り出し方

本日はお時間をいただきありがとうございます。実は、今後のキャリアを考えた結果、10月末をもって退職させていただきたくご報告にあがりました。

本日は、私の今後についてご相談させていただきたくお時間を頂戴いたしました。結論から申し上げると、12月末での退職を決断いたしました。

メールでの例文

件名:退職のお願い

お疲れ様です。〇〇です。
体調不良によりお休みを頂戴しており申し訳ございません。

突然のご連絡で大変恐縮ですが、体調不良のため11月末をもって退職させていただきたくご連絡いたしました。
医師より長期的な休養が必要と診断されたため、退職を決断いたしました。
業務の引継ぎや必要な手続きについては、体調と調整しながらとなりますが、できる限り円滑に対応いたします。

ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

退職をうやむやにされないための対策3選

退職を言い出しても、職場により、退職日をうやむやにして先延ばしをされたり、退職自体を曖昧にされたりする場合もあるかもしれません。ここでは、うやむやにされないための対策を解説します。

メールで記録を残す

退職の交渉は対面で進めることが多く、証拠となる文章が残らないケースも多く見られます。やり取りをメールで残すことで、トラブルになった場合に証拠となります

対面でまとめた内容を、メールで再度確認するのは相手に失礼と感じるかもしれません。その場合は「共有」としてメールすれば角が立ちにくく、相手に返信の手間をかけることもないためおすすめの方法です。

例文

件名:退職日・有給消化についての共有

お疲れ様です。〇〇です。
本日ご相談いたしました退職日および有給消化について、念のためメールにて共有させていただきます。

  • 退職日 10月31日
  • 最終出勤日 10月24日
  • 有給休暇消化 10月27日~10月31日(5日間)

もし誤りがございましたら、お手数ですがご返信をいただけますと幸いです。

ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

退職日は早めに確定させる

上司が退職をよく思わない場合、退職日を決めずあやふやにしておいて、退職を先延ばしにするケースがあります退職自体も曖昧にされてしまう場合もあるため、退職の意志を伝えたら退職日は早めに確定させましょう

「後任が決まってから」や「もう少し考えてみて」などと言われ、退職日がなかなか決まらない場合は、会社に逃げ場を与えない対応が必要です。退職届やメールなど記録に残る方法で、改めて退職の意志と希望日を明確に伝えましょう。必要に応じて、人事やさらに上の上司にも相談し、退職までのプロセスを確実に進めてください。

退職届を提出する

退職届と似ている文書で退職願があり、それぞれの文書の持つ意味には大きな違いがあります。

退職願は会社に「退職したい」と希望を伝える文書で、会社の承認が前提です。一方、退職届は「退職する」と正式な届け出となり、法律上「退職の意思表示」として効力があります。

労働契約上、退職の意志は口頭で伝えても有効にはなりますが、文書にすることで退職を申し出た証拠になります。「退職するか相談されていただけで、退職するとは言われていない」との逃げ道を作らせないためにも退職届は早めに提出しましょう。

>> 退職届と退職願の書き方見本はこちら

人手不足などで上司に退職を引き止められたら?

人手不足などを理由にして上司に退職を引き止められることも珍しくありません。引き止められても「退職の意志は変わらない」とぶれずに上司に伝えましょう

「人手不足だから辞めないで欲しい」会社側の希望であり、会社に退職を止める権利はなく、退職は労働者側に決める権利があります

人手不足により業務が滞ることを不安視している上司には、具体的な引き継ぎ計画を提示しましょう。マニュアルの作成や後任への引き継ぎスケジュールを具体的に示すことで、上司も納得しやすくなります。

退職をどうしても言い出せない場合は退職代行を検討しよう

上司が威圧的な場合や、職場の雰囲気により、どうしても退職を言い出せない場合もあるかもしれません。自分で退職を伝えるのが難しい場合は、退職代行の利用も検討しましょう。

退職は本人が直接対面で伝えるのがマナーとされていますが、退職を認めないブラック企業も存在します。そうした環境では、退職を切り出すこと自体が大きな精神的負担となります。退職代行の利用は、自分自身を守る有効な手段です

退職代行の利用は非常識との考えもありますが、無断欠勤で連絡を絶つよりは、会社への迷惑が少ないでしょう。従業員と連絡がとれない場合、会社は退社手続きを進めることも難しくなり、手続きを完了させるまでに多大な手間がかかります。退職代行の利用で、かえって企業の負担を減らすケースもあるのです。

退職を言い出せない場合のよくある質問や疑問

退職を言い出せない場合のよくある質問や疑問をまとめました。

職場が狭くどこで退職を言い出しても周りに聞こえてしまう……どうしたら良い?

職場が狭く個室や会議室などがない場合は、面談を社外でできないか上司に相談してみましょう。「私事のため、可能であれば職場外の落ち着いた場所(カフェなど)でお話させていただけると助かります」と相談すれば対応してもらえる場合があります。

退職を言い出せない心理状態は?

退職を言い出せない人の心理状態は、多くの場合不安・罪悪感・恐怖・迷いが複雑に入り混じった状態です。心理状態を理解することで、退職を言い出すための対処法に繋がります。

退職を言い出すのにベストなタイミングは?繁忙期を避けた方が良い?

繁忙期が終わる目途が立っているのであれば、落ち着いてから伝えるのも良いでしょう。

落ち着く見通しが立っていない場合は、退職をする意思は1日でも早く会社に伝えた方が会社に迷惑をかけづらくなります。早めに伝えることで、引き継ぎや人員調整など会社が準備する余裕ができます。

退職を言い出せないのは甘え?

退職を言い出せないのは甘えではありません。むしろ職場に迷惑がかかるとして退職を言い出しにくく悩んでいる人が多く、真面目で責任感が強い人ほど退職を伝えにくく感じます。

まとめ|退職を言い出せない理由ごとに気持ちを整理しよう

この記事では、退職を言い出せないときの対処法について解説しました。

申し訳なさや罪悪感、職場の雰囲気によって退職をなかなか言い出せず悩む人は少なくありません。言い出せない理由ごとに気持ちを整理することで、言い出すための勇気が持てます。

言い出せない人が試すべきコツを実践して、安心して退職を言い出しましょう。

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