これで安心!傷病手当金を退職後に申請する方法

傷病手当金は、病気やケガで働けないときに生活を支えてくれる制度です。

体調を崩して仕事が続けられず退職を検討している方の中には、退職後の生活に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

体調不良で退職するけど、もらえる給付金があるって本当?

実は、支給条件を満たしていれば、退職後に初めて申請した場合でも傷病手当金は支給されます

この記事では、「退職後に初めて傷病手当金を申請する方法」について詳しく解説します。

会社に休職制度がなく、退職後にしっかりと療養してから転職活動を始めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

傷病手当金とは?

傷病手当金とは病気やケガで仕事ができず、事業主から十分な給与が受けられない場合、支給される給付金です。

加入している(退職済の場合には加入していた)健康保険から支給されます。

退職後も条件を満たせば、最大1年6ヶ月間の継続給付が可能です。

自営業者などが加入する国民健康保険には、傷病手当金の制度はありません

退職後に初めて申請しても傷病手当金はもらえる?

退職後に初めて傷病手当金を申請しても、支給条件を満たしていれば傷病手当金は受給可能です。

・在職中は有給休暇を使用し、退職後に初めて傷病手当金を申請するケース

・発症から退職までの期間が短いケース

このような場合でも、支給条件を満たしていれば傷病手当金の支給対象となります。

退職後に傷病手当金を受け取るための条件

退職後に傷病手当金を受給するには条件を満たす必要があります。

  • 業務外での病気やケガの療養のための休業であること

業務中や通勤中の病気やケガは、労災保険の対象です。

傷病手当金は「業務外」での病気やケガでの休業を対象としています。

  • 仕事に就くことができないこと

「仕事に就くことができない」とされるかどうかは、医師の判断と被保険者(本人)の仕事内容を考慮して判断されます。

医師が「仕事に就くことができない」と判断する期間は、初診日以降の期間となります。

初診日より前の期間については欠勤をしていたとしても「仕事に就くことができない」期間には含むことができません。

  • 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

仕事を休んだ連続した3日間を「待機」として、4日目以降の仕事を休んだ日を対象に支給されます。

「待機」は、有給休暇や土日・祝日等の公休日も含まれます。

画像出典:病気やケガで会社を休んだとき|全国健康保険協会(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/)

  • 被保険者期間が退職日までに継続して1年以上あること

退職日までに1年以上継続して健康保険に加入していることが必要です。

退職後に、任意継続被保険者や国民健康保険の被保険者となった場合でも、傷病手当金は受給できます。

  • 退職日に傷病手当金を受けている、もしくは受けられる状態であること

退職日に傷病手当金を受給している、もしくは受給を受けられる状態である(1~3の条件を満たしている)ことが必要です。

退職日に挨拶や荷物の整理などで出勤すると、退職後の傷病手当金は受給できないためご注意ください。

「退職後に傷病手当金の継続給付を希望している」ことを職場に相談すると、日程を調整してもらえるケースもあります。

体調を崩している中で確認するのは大変ですが、条件を満たしているか確認しましょう

傷病手当金の支給金額

傷病手当金は1日あたりで支給されます。

支給金額は下記の計算式で計算します。

1日あたりの金額

支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準月額を平均した額÷30日×(2/3)

1日あたりの給与のおよそ3分の2が支給されると考えてよいでしょう。

傷病手当金の支給期間

傷病手当金は、支給を開始した日から通算して1年6ヶ月間支給されます。

ただし退職後に受給している場合、一度「仕事に就くことができる状態」となり、その後さらに「仕事に就くことができない状態」になっても、傷病手当金は再開できません。

退職後の傷病手当金は継続給付が条件となっています。支給期間が残っている場合でも、1日でも「仕事に就くことができる状態」となった場合には、以降の期間は傷病手当金は支給されませんので注意してください。

傷病手当金が支給されない・減額されるケース

以下のような場合、傷病手当金が支給されない、もしくは減額される可能性があります。

・傷病手当金と出産手当金がもらえる時

・退職後に老齢(退職)年金がもらえる時

・障害厚生年金または障害手当金がもらえる時

・労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)時

退職後に初めて傷病手当金を申請する流れ

退職後にも傷病手当金を受給するには継続給付が条件になるので、退職前から準備をしておく必要があります。

退職してから、初めて傷病手当金を申請するには、在職した期間から申請をします。

STEP
支給条件を確認する

傷病手当金の支給条件を満たしているか確認しましょう。

退職日の前日までに3日間連続した「待機」が完成していて、退職日当日も出勤していないことがポイントです。退職日当日が有給休暇でも問題ありません。

STEP
申請書を入手する

会社から申請書を受け取る、もしくは加入していた健康保険のWebサイトから申請書をダウンロードします。

全国健康保険協会(協会けんぽ)はWebサイトから申請書をダウンロードできます。

STEP
医師に「療養担当者の欄」を記入してもらう

医師に申請書の「療養担当者の欄」に記入をしてもらいましょう。

労務不能と認めた期間や傷病名、発病日などの項目があります。

労務不能と認めた期間について、医師は未来の期間については記入することができません。

傷病手当金は仕事ができなかった期間を、過去にさかのぼって申請をします。

申請書には「労務不能と認めた期間:〇年〇月〇日~〇年〇月〇日」と記入する項目があります。

その期間に労務が出来なかった証明となるので、その期間が過ぎてからでないと記入してもらえませんので、注意しましょう。

申請書を預けてから受け取りまで、数週間かかる場合もあります。スケジュールは余裕をもちましょう。

STEP
「本人記入欄」を記入する

申請書の「本人記入欄」を記入します。

「療養担当者の欄」と重複する項目があるので、病院から申請書を受け取ってから記入するとスムーズです。

STEP
会社に書類を提出する

会社に申請書を提出(郵送)して「会社記入欄」に記入してもらい、会社経由で健康保険へ提出します。

会社が傷病手当金の制度を理解していないケースもあります。

全国健康保険協会(協会けんぽ)であれば、「会社記入欄」に記入後に返送してもらい、自分で全国健康保険協会(協会けんぽ)へ郵送で提出することも可能です。

STEP
通知書が届く

健康保険での支給審査が完了後、通知書が届きます。

支給決定となれば、指定口座に傷病手当金が振り込まれます。

傷病手当金のよくある質問

傷病手当金についてよくある質問をまとめました。

傷病手当金を受給中でも、家族の扶養に入れますか?

家族の加入している健康保険により判断が異なります。傷病手当金の受給金額により扶養に入れる場合もあるので、家族が加入している健康保険に確認しましょう。

申請後、通知書はどれぐらいで届きますか?

健康保険により違いはありますが、初めて申請した時には通知書が届くまで1〜2ヶ月ほどかかる場合があります。初回は支給審査に時間がかかるため、日数がかかります。

申請代行サービスは利用した方がよいでしょうか?

自分で調べて自分で申請をすることも可能です。ただ体調を崩している中、自分ですべて進めるのは難しい場合もあるかもしれません。そのような時は申請代行サービスも選択肢として検討してもよいでしょう。

まとめ

本記事では、退職後に初めて傷病手当金を申請する方法について解説しました。

傷病手当金は、病気やけがで仕事に就けない時に療養に専念するための支援制度です。

体調が回復しないまま無理をして転職活動を始めてしまうと、病気が再発・悪化するおそれもあります。

まずはしっかり休養して、回復を最優先にしましょう。

そのためにも、傷病手当金の制度を正しく理解し、自分の権利として活用してください。

療養に専念できるための安心できる制度だね

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