
内定を辞退したいけど可能?



トラブルにならないような内定辞退の方法を知りたい



内定辞退にリスクはある?
このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。辞退は、なるべくトラブルなく失礼がないように穏便に済ませたいですよね。
中途採用での内定辞退は可能で、よくあることです。事を荒立てずに内定辞退を済ませるためには、できるだけ早く、誠意を持って対応することが大切です。
この記事では、辞退したときのリスクやトラブルを避けるためのポイント、理由別のメール例文まで詳しく解説します。
最後まで読めば、トラブルなくスムーズに内定辞退ができるでしょう。
本記事のライター:伊藤えま
採用・人事歴10年以上。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)取得済み。採用統括責任者として現場で得てきたリアルな知見を、発信している。
中途採用は内定の辞退は可能|承諾前・承諾後の違い


中途採用では内定の辞退が可能です。ただし、辞退をするタイミングによりリスクの大きさが異なります。辞退する時期の違いについて解説します。
中途採用(転職)で内定の辞退はよくある?
中途採用では内定の辞退はよくあることです。
応募者は、複数の会社での選考を同時に進める方法が一般的です。現在、採用市場は売り手市場が続いており、求職者の数より求人の数が多くなっています。そのため、複数の内定をもらう応募者も少なくありません。複数内定が出たときは、比較検討して入社する会社以外は内定を辞退します。
内定承諾前の辞退であれば、リスクは比較的少ないです。職業選択の自由が憲法で保障されているため、法律上での問題もありません。
内定承諾前の辞退は珍しいことではなく、よくあることです。
中途採用(転職)で内定承諾後の辞退はよくある?
一方、内定承諾をした後での辞退は、承諾前と比較すると大幅に減少します。
内定承諾後は、企業と応募者の間で労働契約が成立している状態になります。そのため、承諾後の辞退はリスクが大きく、承諾前の辞退が一般的だからです。
法律上、入社日の2週間前までに辞退を伝えれば、労働契約の解除は可能です。ただし、以下のようなときには企業側に金銭的な損害が発生します。
- 名刺や備品など発注した
- 研修の手配を済ませた
- 求人の掲載が終了しており、再度求人を掲載する必要がある
このような場合に、損害賠償を請求される可能性があります。とはいえ、実際に損害賠償を請求されるケースは稀です。企業イメージの悪化や訴訟への労力を考慮して、致し方なく辞退を受け入れる傾向にあります。
内定承諾後の辞退は、慎重に判断しましょう。
中途採用で内定辞退はいつまでに連絡したら良い?
内定辞退を決めたら、できるだけ早く連絡しましょう。
もし承諾と辞退を迷っているときは、内定保留を伝え、返答期限を設けることで、相手に誠意を示せます。内定への返答がゼロでは、企業は動けません。そのため、採用スケジュールに影響が出る可能性もあります。
早ければ早いほど、トラブルなくスムーズな辞退が可能です。
中途採用で内定を辞退するリスク


内定を辞退するには、リスクが伴います。リスクを把握して、辞退するかを判断しましょう。
今後のビジネスに支障がでる可能性がある
内定辞退は、あなたの今後におけるビジネスに支障がでる可能性があります。
特に、辞退した企業と同じ業界に転職した場合に「内定を辞退した」との情報が伝わる可能性があります。転職先だけでなく、取引先へ伝わる可能性もあるでしょう。
損害賠償を請求されるケースもある
内定承諾後や入社日直前に辞退した場合、損害賠償を請求される可能性があります。内定承諾後、企業は受け入れ準備を進めているため、辞退により金銭的な損害が発生してしまうからです。
トラブルを避けるためにも、辞退はなるべく早く、誠実な姿勢で伝えましょう。
中途採用で内定辞退のトラブルを避けるためのポイント・マナー


先に述べた通り、内定辞退にはリスクがありトラブルになる可能性があります。トラブルにならないためのポイントやマナーを知っておきましょう。
- できるだけ早めに連絡する
- メールで連絡する
- 感謝を伝え誠意ある対応をする
ひとつずつ詳しく解説します。
できるだけ早めに連絡する
企業は採用スケジュールにそって採用を進めています。早いタイミングで辞退を連絡することで、スケジュールへの影響を減らし、企業に迷惑をかけないで済みます。
辞退の連絡があれば、企業は次の候補者に内定を出したり、採用活動を継続できたりします。しかし、連絡がないと企業は動けず、企業側の採用活動を完全に止めてしまうことになりかねません。
メールで連絡する
内定辞退を伝えるのは、電話でもメールでも問題ありません。ただし、メールであればやりとりが記録として残るため、トラブルを避ける上で安心です。
多くの人がメールで辞退を伝えているため、失礼にあたることもありません。
感謝を伝え誠意ある対応をする
企業は人材を確保するために時間を費やしているため、辞退はその応募者にかけた時間が徒労に終わることになります。そのため、辞退を伝えるときは感謝を伝え、誠意ある対応をすることが大切です。辞退の理由は必ずしも伝える必要はありませんが、伝えた方が相手に理解してもらいやすくなります。印象を悪くしないことで、スムーズな辞退が可能です。
選考に時間を割いてもらったことへの感謝と、辞退へのお詫びを伝えましょう。
【理由別】中途採用で内定辞退するときのメール例文3選


内定を辞退する理由として以下のようなものがあります。
- 他の会社への転職
- 給与が低いなど条件の不一致
- 現職に残る
それぞれで使えるメール例文を紹介します。
他の会社へ転職する場合の内定辞退メール例文
件名:内定辞退のご連絡(氏名)
株式会社〇〇
採用ご担当者様
お世話になっております。
貴社の採用選考を受けさせていただきました(氏名)です。
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。また、選考に貴重なお時間を割いていただきましたこと、心より感謝申し上げます。
大変恐縮ではございますが、慎重に検討いたしました結果、今回は別の企業にご縁をいただき、内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
何度も面接のお時間を割いていただいたにもかかわらず、このようなご連絡となってしまい誠に申し訳ございません。
末筆ではございますが、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
給与が低いなど条件の不一致での内定辞退メール例文
件名:内定辞退のご連絡(氏名)
株式会社〇〇
採用ご担当者様
お世話になっております。
貴社の採用選考を受けさせていただきました(氏名)です。
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。また、選考に貴重なお時間を割いていただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。
労働条件等を含めて熟慮いたしました結果、大変恐縮ではございますが、今回の内定は辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
何度も面接のお時間を割いていただいたにもかかわらず、このようなご連絡となってしまい誠に申し訳ございません。
末筆ではございますが、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
現職に残る場合の内定辞退メール例文
件名:内定辞退のご連絡(氏名)
株式会社〇〇
採用ご担当者様
お世話になっております。
貴社の採用選考を受けさせていただきました(氏名)です。
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。また、選考に貴重なお時間を割いていただきましたこと、心より感謝申し上げます。
貴社には大変魅力を感じており、入社を前向きに検討しておりましたが、現職に留まることを決断いたしました。大変恐縮ではございますが、内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
末筆ではございますが、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
よくある質問
中途採用における内定の辞退についてよくある質問をまとめました。
- 内定辞退をした会社に再度応募しても良い?
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内定を辞退した会社への再応募は可能です。ただし、たいていの企業は選考履歴を保管しているため「以前に辞退した応募者」とわかります。最初の応募と比較して、選考ハードルが高くなることを理解しておきましょう。
- 内定辞退の撤回は可能?
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内定辞退の撤回は、不可能ではありませんが非常に難しいと考えた方が良いです。辞退は致し方ないこととはいえ、好印象となることはありません。また、企業は辞退の連絡が入った時点から、採用活動を再開しているためポジションが空いていない可能性もあります。
- 入社直前に辞退するとどうなる?
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法律上は、入社日の2週間前までに辞退を伝えれば、辞退は可能です。しかしながら、入社直前での辞退は、企業に大きな迷惑をかける行為であり、トラブルになるリスクがあります。
- 転職エージェント経由の場合は内定辞退をどう連絡すべき?
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転職エージェント経由で応募をした場合には、応募者が直接企業へ連絡するのではなく、転職エージェントに連絡を代行してもらうのが基本です。内定辞退を決めたら、まずは担当の転職エージェントに連絡しましょう。
まとめ
この記事では、中途採用での内定辞退について解説しました。
中途採用での内定辞退は可能で、珍しいことではありません。内定承諾前の辞退であれば、リスクも少なくトラブルになることはないでしょう。一方、内定承諾後の辞退にはリスクが伴うため、慎重に判断する必要があります。
内定の辞退を決断したら、ポイントを押さえ、メール例文を活用してなるべく早めに連絡しましょう。

