- 面接で長所・短所を尋ねるのは「職場でどんな働き方をする人なのか」をイメージするため
- 「長所」はアピールより根拠が大事
- 「短所」は成長エピソードで前向きに伝える
- そのまま使える具体的な長所・短所の例文10選(例文)
「面接で自分の長所・短所をどう答えればいいか分からない」
「短所を話すと不採用にならないか不安」
「長所を上手くアピールする方法が知りたい」
このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、面接で評価されるポイントや長所・短所を答える基本ルールを整理し、そのまま使える具体的な例文10選をご紹介します。
最後まで読めば、自信を持って「あなたらしさ」と適性があることを伝えられるようになります。

- 採用・人事歴10年以上
- 中途採用のみで900名以上を選考
- 採用統括責任者として書類選考・面接・採否の決定を担当
- 人事評価基準の策定・人事考課にも従事
- 社員のキャリア相談を多数経験
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)
なぜ面接で長所・短所を聞かれるのか

面接でほぼ必ずといっていいほど聞かれる質問が「あなたの長所と短所を教えてください」です。多くの人が準備に悩むこの質問は、実は面接官にとって、応募者の人柄や仕事の向き不向きを見抜くうえで欠かせないポイントです。
ここでは質問の目的や評価されるポイント、自己PRとの違いを整理していきましょう。
質問の目的と面接官の意図
面接官が長所・短所を尋ねるのは、単にあなたの性格を知ることではなく「職場でどんな働き方をする人なのか」をイメージするためです。
面接官の主な意図は、自己理解力の有無、改善意欲の有無、そして職場との相性の3点に集約されます。自分の性格や行動傾向が客観的に把握できているか、弱点をどう受け止め成長につなげようとしているか、人間関係に支障がないかを確認したいのです。質問を通じて、採用後にトラブルが起きにくいか、将来的に成長が見込める人かを見極めています。
回答する際のコミュニケーション能力も評価の対象です。答えが短かすぎても長すぎても印象が悪くなるため、要点を押さえて話せるかも判断材料になります。
長所・短所の内容だけでなく、自己理解と伝え方のバランスが重視されています。
評価されるポイント
長所・短所の質問で評価されるのは、次の3つの要素です。

- 自己理解の深さ
 自分の強みや弱みを、具体的に説明できるかどうかを見ています。たとえば「協調性があります」だけでは抽象的です。「チームの意見をまとめる際、相手の考えを整理しながら調整役を努めた」など、行動に基づく根拠があると説得力が増します。
- 改善力・成長意欲
 短所がない人はいません。大切なのは、短所を隠すことではなく、その弱点をどう受け入れ、改善してきたかを伝える姿勢です。失敗や課題から何を学び、どのように乗り越えてきたかを話すことで、成長意欲が高いと判断されます。
- 職場適性
 長所・短所が応募先の職場に合っているかどうかも重要です。たとえば、事務職の場合「几帳面」は好印象ですが、「慎重すぎて決断が遅い」はマイナスに働くこともあります。
こうした観点から、面接官はあなたの「人柄」と「業務適性」を総合的に見ています。上手に飾るよりも自分を正しく理解して伝えることがポイントです。
長所と自己PRの違い|面接官が知りたいポイントの違い
「長所」と「自己PR」は似ていますが、質問の目的が異なります。以下の表で違いを見ていきましょう。
| 項目 | 長所 | 自己PR | 
|---|---|---|
| 質問の目的 | 性格面や仕事への姿勢を知るため | 採用後にどう活躍できるかを知るため | 
| 内容の中心 | 性格や行動特性(人柄) | 経験・スキル(実績) | 
| アピール方法 | 「私はこういう性格です」+エピソード | 「これまで○○を達成しました」+成果 | 
| 面接官が知りたいこと | 職場との相性・伸びしろ | 即戦力性・活躍可能性 | 
長所は自分の性格や姿勢を表すもの、自己PRは実際に成果に結びつけた行動です。違いを理解しておくと、面接官の質問意図に的確に答えられるようになります。
では、実際にどのように伝えれば印象が良くなるのでしょうか。次は長所と短所の伝え方の基本ルールを見ていきましょう。
面接で長所・短所を伝えるときの基本ルール|印象アップのコツ
長所や短所を正しく理解していても、伝え方を間違えると評価が下がってしまうことがあります。面接官に「一緒に働きたい」と思ってもらうためには、誠実さと説得力がある話し方が不可欠です。ここでは、印象をアップさせるための基本ルールを整理します。

「長所」はアピールより根拠が大事
面接で長所を聞かれたとき、つい「良く見せよう」と考えすぎてしまう人が多いでしょう。しかし、面接官が求めているのは優れた長所ではなく、その長所が実際の行動として表れているかです。根拠が弱いと、いくら印象の良い言葉でも、自己満足のアピールに聞こえてしまいます。
長所を伝えるときは次の流れで話すと自然で印象的です。
「私の長所は計画性があることです」
「営業事務として担当者のスケジュールを一括管理し、納期遅れをゼロにできた経験があります」
「その経験を活かし、チームの進行管理を支えるポジションで貢献したいと考えています」
長所をどう行動で証明できるかを意識して話すことが、面接官の信頼を得る近道です。
「短所」は成長エピソードで前向きに伝える
短所を聞かれると戸惑いや不安を感じる人は少なくありません。「正直に話すとマイナス評価になりそう」と考えがちですが、実はこの質問は成長意欲を見極めるための質問です。短所はあなたの「伸びしろ」を伝える場になります。
短所を前向きに伝えるには、以下のステップを意識しましょう。
「慎重になりすぎて、判断が遅くなることがあります」
「以前、確認作業に時間をかけすぎて上司に指摘されたことがありました」
「それ以来、優先順位を決めて行動し、業務効率を意識しています」
自分の課題を冷静に把握し、改善に取り組む姿勢こそが評価されるポイントです。
とはいえ、長所や短所をどう話せばいいか、具体的な言葉が思い浮かばない人も多いでしょう。面接ですぐ使える例文について、次項よりご紹介します。
【例文10選】面接で好印象を与える長所・短所の答え方

ここまでで、長所は根拠を添えること、短所は成長エピソードで前向きに伝えることが大切だとわかりました。では、実際にどのように言えば好印象になるのでしょうか。ここでは、面接で使いやすい長所・短所の例文をご紹介します。
面接向け|長所の答え方と例文5選
長所を伝える際は、具体的な行動や、達成した成果を結びつけることで、格段に説得力が増します。この伝え方を意識すると、面接官は入社後の活躍を具体的にイメージしやすくなります。面接でそのまま活用できる例文をみていきましょう。
面接向け|協調性がある
チームで業務を進める際に、意見が食い違うときも調整役として話し合いをまとめます。前職では、担当間での情報共有を円滑にし、納期遅れを防ぎました。
面接向け|責任感がある
任された仕事は最後までやり遂げる責任感があります。書類作成の締め切り管理では、ミスを減らし、上司からも信頼されました。
面接向け|計画性がある
業務の優先順位を整理し、スケジュール通りに進める計画性があります。月次報告の作成も、毎回期日内に提出できました。
面接向け|粘り強さがある
トラブルが発生しても諦めずに解決策を探す粘り強さがあります。システムトラブル時には、原因を突き止め復旧まで対応しました。
面接向け|正確さ
数字やデータを扱う際は正確さを意識しています。経費精算業務で誤入力を防ぎ、月次のチェック作業を効率化しました。
面接向け|短所の答え方と例文5選
短所は、改善に向けた努力や工夫を添えることで、前向きな印象を与えられます。ここでは、面接で使いやすい短所と伝え方をご紹介します。
面接向け|心配性
確認作業に時間をかけすぎる傾向がありますが、優先順位を決めて効率化するようにしています。
面接向け|完璧主義
細部までこだわりすぎることがありますが、チーム全体のスピードを意識するように心がけています。
面接向け|負けず嫌い
他人に負けたくない気持ちが強く、時に競争心が先行しますが、今は協力しながら成果を出す意識に変えています。
面接向け|優柔不断
判断に迷うことがありますが、必要な情報を整理して迅速に決定できるよう心がけています。
面接向け|慎重すぎる
新しい提案に対して慎重になりすぎる傾向がありますが、リスクを整理したうえで提案するように意識しています。
長所・短所の組み合わせ例
長所と短所をバラバラで伝えるのではなく、組み合わせて話すことで、さらに説得力が高められます。ポイントは、長所が短所を補完する内容で伝えることです。たとえば、以下のような組み合わせが考えられます。
例1:計画性(長所)+慎重すぎる(短所)
計画性があるため、業務を効率よく進められます。一方で慎重になりすぎることがあり、判断に時間がかかることもありますが、リスクを整理して優先順位をつけるようにしています。
例2:協調性(長所)+負けず嫌い(短所)
協調性を大切にしてチームでの作業を円滑に進めます。ただ、負けず嫌いな面があり、競争心が先行することがあります。現在は協力して成果を上げることを意識しています。
例3:正確性(長所)+完璧主義(短所)
正確に作業を進められるのが強みです。完璧主義なところがあり時間がかかることがありますが、重要度に応じて優先順位をつけ、効率的に取り組むようにしています。
面接で長所・短所を答える前にやっておきたい自己分析のやり方

面接であなたの長所・短所を説得力を持って伝えるには、自己分析による特徴の整理が不可欠です。頭の中だけで考えると回答が曖昧になりがちですが、しっかり言語化して整理することで、面接本番で自信を持って話せるようになります。ここでは、面接前に実践したい自己分析の具体的な方法をご紹介します。
長所・短所を整理する3ステップ
自己分析は段階を追って進めると整理しやすくなります。迷わず進められる3ステップをご紹介します。
これまでの仕事における具体的なエピソードを書き出します。どんな状況でどんな行動を取ったか、細かく書き起こすと自分の特徴が見やすくなります。
書き出した経験から、自分がよく取る行動や、成果につながった行動を整理します。「計画的に進める」「周囲と協力して解決する」など、長所として伝えられる要素をピックアップしましょう。
同時に、失敗した経験や苦手だと感じた行動も整理します。ただし、そのまま短所として伝えるのではなく、改善の努力や工夫したことも書き出しましょう。
他人の意見を取り入れる方法
自己分析は自分だけで完結させると主観的な偏りが出やすくなります。そのため、他者の意見を取り入れるのがおすすめです。他人の視点から見た特徴や行動は、自分では気づけない長所や短所の発見につながります。
信頼できる同僚や上司に、自分の長所・短所を尋ね、具体的なエピソードを教えてもらいましょう。ただし、注意点があります。長所・短所をそのまま質問すると「転職活動をしているのでは?」と不安視されるリスクがあります。
そこで、仕事の振り返りとして質問する方法がおすすめです。たとえば「この前の資料作成の進め方について、良かった点や改善点があれば教えてもらえますか」と尋ねることで自然に把握できます。
フィードバックを元にしたエピソードの整理で、自己分析の精度が向上し、面接官に響く表現や自信が得られます。
【NG例文あり】面接で避けたい長所・短所の答え方と注意点

面接で長所・短所を聞かれると、つい良い印象を与えようと考えすぎてしまい、逆に面接官の印象を損ねてしまうことがあります。ここでは、よくあるNG回答の例と、注意すべきポイントを整理します。自分では良かれと思って話した内容が、実は面接官に誤解を与えている場合もあるため、確認しておくと安心です。
抽象的すぎる長所・短所は避けよう
面接で長所や短所を答える際「責任感があります」「短気です」といった言葉をつい選びがちです。しかし、こうした抽象的な表現は面接官に具体的なイメージを与えられず、印象に残りにくくなります。どれだけ良い性格や特徴を持っていても、面接の場では「ふわっとした印象」で終わってしまうのです。
たとえば「努力家です」とだけ答えても、どんな場面でそのように努力したのかが伝わらなければ、面接官は本当なのかと疑問を持つかもしれません。同じように「優柔不断です」とだけ答える短所も、改善の姿勢や行動が伴わなければ、マイナス評価につながる可能性があります。
面接で選ぶ長所・短所は、具体性をイメージしやすいものに絞ることがポイントです。漠然とした表現を避けるだけで、回答の信頼性が高まり、面接官に自分の強みや成長意欲が伝えられるようになります。
信頼を失うNG回答例
面接ではネガティブすぎる短所や、逆に長所を偽って伝えることも避けるべきです。こうした回答は、自己分析や誠実さに欠ける印象を与えてしまいます。
このように伝えると、短所を隠すのではなく、克服に向けて努力している姿勢が伝わります。
まとめ|面接の長所・短所で「あなたらしさ」と適性を伝えよう
この記事では、面接で伝える長所・短所について解説しました。
面接で長所・短所を答えるときは、抽象的な表現は避け、具体的な経験や根拠を交えて伝えることが大切です。短所は改善意欲や成長エピソードを添えると前向きな印象になります。
自己分析をもとに、自分らしい言葉で答える準備をしておけば、面接で自然に「あなたらしさ」と適性を示せます。

