- アルムナイ採用とは何か?
- アルムナイ採用とカムバック採用・リファラル採用の違いとは?
- 応募者側から見たアルムナイ採用メリット・デメリット
- アルムナイ採用で応募するときの4つの注意点

退職した会社に戻るなんてあり得ない
そのように思われていた時代は、もう終わりです。
近年、少子高齢化による労働人口の減少により採用が難しくなっています。
そのため優秀な人材を雇用する方法としてアルムナイ採用が注目されています。
実はアルムナイ採用は、企業だけでなく応募者側にも多くのメリットがあります。
しかし、退職理由や職場の雰囲気など考えないと、再び「辞めたい……」と後悔するケースも。
この記事では、転職を希望している方向けに、アルムナイ採用の解説や、メリット・デメリットについて解説します。
本記事のライター:伊藤えま
採用・人事歴10年以上。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)取得済み。
採用統括責任者として現場で得てきたリアルな知見を、発信している。
アルムナイ採用を味方につけて、自分に合ったキャリアを選びましょう。
アルムナイ採用とは何か?意味と仕組みを解説


アルムナイ採用とは、過去の従業員を再び雇用する採用方法です。
アルムナイ(Alumni)の意味は「卒業生」で、人事では「元社員」のことを指します。
近年、優秀な社員を採用する方法として自治体を始め、みずほフィナンシャルグループやトヨタ自動車、NTTグループなど大手企業でもアルムナイ採用を導入しています。
なぜ今、アルムナイ採用が注目されているのか


優れた人材を確保するための採用方法として、アルムナイ採用は注目されています。
日本では人材不足が深刻化しており、採用や人材の定着が課題となっています。
少子高齢化で働く世代の人口が年々減少しており、人材確保は困難な状態です。
新しい人材を最初から採用するよりも、メリットがある場合が多いため、導入企業は増加しています。
アルムナイ採用とカムバック採用・リファラル採用の違いとは?
アルムナイ採用の他に、耳にするようになったカムバック採用・リファラル採用の違いについて解説します。
- アルムナイ採用
退職した社員を再度雇用する採用方法。
- カムバック採用
一般的にはアルムナイ採用とほぼ同じ意味で使われる。
結婚や育児、家族の都合など、やむを得ない事情で退職した元社員を対象とした再雇用を指す場合がある。
- リファラル採用
在職中の社員からの紹介で採用する方法。対象者は元社員に限らないのが特徴。
アルムナイ採用の現状と広まり具合


導入企業は着々と増えています。自動車業界や金融業界をはじめ、航空業界など業界を問わず拡大しています。
アルムナイ採用に向けて元社員向けに、専用サイトの開設や交流イベントの開催など企業が意欲的に取り組みをしています。
いままでは「出戻り入社はなし」という暗黙ルールのようなものがありました。
しかしながら人材確保の課題から、再び良い関係を構築しようとする考え方になっています。
応募者側から見たアルムナイ採用メリット・デメリット


アルムナイ採用に応募するかはメリット・デメリットを知っておくことが大切です。
応募者の視点で詳しく解説します。
メリット
- 即戦力として評価されやすい
以前働いていた企業で再び勤務するので、即戦力として評価されやすくなります。
同じ業務を担当する場合はもちろん、別の業務を担当する場合でも会社の方針を理解しているのでスムーズに対応できます。
- 見知った環境のため安心できる
知っている人や職場での仕事は、安心できる環境です。
新しい企業へ馴染むまでには、心身にある程度負担がかかるものです。
見知った環境であればが順応するまでの時間もさほどかからないでしょう。
- キャリアアップにつながる可能性がある
他の企業で身に着けたスキルや知見を持ち帰ることで、キャリアアップにつながる可能性もあります。
在職時より良いポジションや条件で再入社できるケースもあります。
デメリット
- 退職した理由が改善されていない場合がある
退職した理由となった事柄が企業にある場合、改善されていない場合があります。
変わらない環境であれば、再び退社となるかもしれません。
- 周りの目が気になることがある
かつては「一度退社したら戻らない」という考え方が強くありました。
そのため職場の雰囲気により「出戻り」と見られて、周囲の目が気になることもあります。
- 成長の機会が減ることがある
新たな環境に身をおくことで得られるキャリアやスキルがあります。
元の環境に戻ることで、成長の機会が減ることもあるかもしれません。
企業側にとってのアルムナイ採用のメリット・デメリット


アルムナイ採用は、企業にとって多くのメリットがあることから取り入れる企業が増加しています。
企業側のメリット・デメリットも知ることで、自分にあう選択肢か判断する参考にしましょう。
メリット
- 採用・教育コストが削減できる
- 即戦力として活躍してもらいやすい
- ミスマッチが起こりにくい
デメリット
- 規則や制度を整備する必要がある
- 退職理由によって問題が再発する
- 在職社員との不公平感に繋がる可能性がある
アルムナイ採用で応募するときの4つの注意点


応募者にとってもメリットがあるアルムナイ採用ですが、応募するときに注意する点があります。
退職理由を思い返す
なぜ退職をすることになったのか理由を振り返りましょう。
子育てや家庭の事情などのやむを得ない理由であれば、問題はありません。
もし会社に理由があった場合、再入社しても同じ理由で「退職したい」と悩むことになるかもしれません。
復帰後の条件をしっかり確認する
復帰した後の条件に関して、事前にしっかり確認をして判断します。
以前と同じ条件での採用とは限りません。
「思っていたのと違った」とならないように予めの確認が大切です。
「戻ったらどのように貢献できるか」をイメージする
復職した場合、どのように活躍できるかのイメージも重要です。
退職してから身につけたことをどう活かすかを明確にすることで、選考での好印象にも繋がります。
落ちることもある
アルムナイ採用は、書類選考や一次面接などの選考ステップが免除となることがあります。
しかしながら、選考自体はありますので落ちて不採用になる場合もあります。
よくある質問
アルムナイ採用についてよくある質問をまとめました。
- アルムナイ採用は、退職してから期間がしばらくあいた人が対象でしょうか。退職して1〜2ヶ月の人は対象になりませんか?
-
企業により対象となる人が異なります。
過去に在籍していたことのみを条件としているケースも多くあります。担当者への確認をおすすめします。
- アルムナイ採用で面接を受けることになりました。どのような質問をされますか?
-
よく聞かれるのはこのような質問です。
・退職した理由は?
・退職後にどのような経験を積んだか?
・なぜもう一度この会社で働きたいと思ったのか?
・復帰後はどのように活躍したいですか?
・復職にあたって不安なことは?
退職した理由と戻りたい理由を関連させて、前向きな内容にすることがポイントです。
まとめ|アルムナイ採用は応募者にもメリットがある
この記事では、アルムナイ採用について応募者視点で解説しました。
アルムナイ採用は、企業だけではなく応募者にも可能性を広げる選択肢です。
以前の職場で培った信頼関係や、新しいスキルを活かし、キャリアアップにつなげることもできます。
ただし、退職した理由によっては慎重に判断した方がいい場合もあります。
自分にとって本当に納得できる形での「出戻り入社」を検討してみてください。