- 取引先への退職挨拶メールは「感謝」と「後任者」を伝えることが最重要
- 社内メールと異なり、社外向けの丁寧さと配慮が必須
- 相手との関係性に合わせて一斉送信・個別送信は使い分ける
- そのまま使える例文を紹介(例文)
「取引先への退職挨拶メール、これで本当に失礼じゃない?」
「後任者の紹介ってどう書くの?」
「一斉送信しても問題ない?」
このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。社外向けのメールは丁寧な表現が欠かせず、社内メールより難易度は高めです。
この記事では、失礼のない退職挨拶メールのマナーや送信タイミング、例文、退職挨拶メールへの返信方法までわかりやすく解説します。
最後まで読めば、迷うことなく退職挨拶メールを送れ、円満退職につなげられます。

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- 採用統括責任者として書類選考・面接・採否の決定を担当
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取引先向け退職挨拶メールの基本マナー

取引先に送る退職挨拶メールでは、円満な関係を保ちながら、感謝や今後の担当者を適切に伝えることが求められます。まず、マナーや表現の基本を押さえましょう。
取引先向け退職挨拶メールの目的
退職挨拶の原則は、取引先へ直接訪問して感謝の気持ちを伝えることです。対面での挨拶によって、これまでの関係への誠意がより伝わります。
とはいえ、退職まで日数がない場合や取引先とのスケジュールが合わない場合もあるでしょう。直接の挨拶が難しい際は、メールで挨拶する方法が有効です。
メールでは、感謝の言葉と今後の連絡窓口を伝え、取引先が困らないよう配慮しましょう。たとえば「長らくお世話になりました。後任の〇〇が引き継ぎますので、今後は〇〇までご連絡ください」と記載すると、感謝と引き継ぎを同時に伝えられます。
訪問が難しい場合でも、メールで誠意を伝えることが、企業間の信頼関係を保ち続けることにつながります。
取引先メールと社内メールとの違い
社内向けメールは柔らかい表現や親しい呼称を使えますが、取引先にはより丁寧で正式な表現が求められます。また、社内では個人的な感想や雑談も許容されますが、取引先には業務上の関係維持に必要な内容だけを簡潔にまとめましょう。
| 項目 | 社内メール | 取引先メール |
|---|---|---|
| 呼称 | 親しい呼称も可 | 正式な呼称 |
| 表現 | カジュアル | 丁寧・正式 |
| 内容 | 感想や雑談も可 | 感謝・引き継ぎ・連絡先中心 |
取引先への退職挨拶メールでは、形式や言葉遣いをより丁寧にすることで、相手からの信頼を維持したまま退職挨拶ができます。
取引先に送る際のマナー
退職挨拶メールを送る時には、以下のポイントを意識すると、相手に負担をかけず、印象も整います。
- 件名は簡潔に「退職のご挨拶」などと明示
- 宛先は正確に、複数の場合はBCCを活用
- 本文は感謝・引き継ぎ・連絡先を明確に記載
- メールは簡潔に、読みやすい段落構成を意識
- 文末は丁寧な表現で締め、失礼のない印象へ
適切なビジネスマナーで書かれたメールは、受信者にとって内容の理解が早く、その後の対応を円滑に進めるメリットがあります。退職挨拶メールは形式を押さえつつ、簡潔に感謝と引き継ぎを伝えることが基本です。
取引先への退職挨拶メール|送るタイミングと対象範囲

退職挨拶メールは、相手に手間をかけずに必要な情報を伝えるため、送るタイミングと送る相手を整理しておく必要があります。迷いやすいポイントを押さえて、準備を進めましょう。
退職挨拶メールを送るべき取引先
退職挨拶メールの送信先は、仕事で関わりのあった範囲を基準に整理すると判断がスムーズです。まず取引先との関係性を洗い出し、適切な送り先を決めます。
見落としを防ぐために、次のように分類してみましょう。
- 直接の担当者
- 担当者の上長
- プロジェクトで協働した関係者
- 長期的にわたり取引を続けた企業
分類を踏まえると、必要な相手全員に挨拶できます。もし判断に迷った場合は「この連絡がないと相手が業務上困るか」を基準に考えると良いでしょう。たとえば、頻繁に連絡を取らなくても重要な契約に関わった相手には、挨拶で良好な関係を維持できます。
送る相手の範囲を広げすぎる必要はなく、実際に業務で接点があった範囲を中心に整理しましょう。
一斉送信・個別送信の使い分け
メールの送信方法は、相手との関係やメールの目的に応じて使い分けることで、効率良く送信を終えられます。以下は、一斉送信と個別送信の主な違いをまとめた表です。
| 方法 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 一斉送信 | 情報共有が中心 | 宛先をBCCにする |
| 個別送信 | 丁寧に感謝を伝えたい場合 | 相手に合わせて文面を調整する |
情報を伝えるのみであれば一斉送信で十分ですが、日ごろお世話になった相手には個別送信が適しています。たとえば、担当者とのやり取りが続いた案件があれば、個別に文面を変えると良いでしょう。
方法を分けることで、内容がスムーズに伝わり、相手にも配慮の姿勢が伝わります。
取引先へ退職挨拶メール送信の最適タイミング
取引先への退職挨拶メールの送信時期は、上司に相談して決めるのが原則です。社内の進行状況や取引先との関係性を把握している上司の判断を仰ぐことで、余計な行き違いを防げます。
ただし、特に上司から細かい指示がない場合は、退職日の1〜2週間前が最適な目安になります。相手が業務予定を調整しやすく、後任者の引き継ぎも確認しやすいタイミングです。早すぎると相手が忘れてしまい、遅すぎると急な印象になってしまいます。
取引先へ退職挨拶メールを送る際は、まずは上司への相談を前提にしつつ、指示がなければ1〜2週間前に送るのが最適なタイミングです。
取引先向け退職挨拶メールの例文
取引先への退職挨拶は、状況に合った文面を使うと意図が伝わりやすくなります。ここでは、シンプルな形から後任者紹介、一斉送信用までそのまま使える文例をご紹介します。
取引先向け退職挨拶メール|シンプルで丁寧な例文
社外向けの退職挨拶は、簡潔で流れの整った文面にすると相手にスムーズに伝わります。これまでの感謝と引き継ぎ状況を短くまとめるのがおすすめです。
例文
件名:退職のご挨拶(株式会社〇〇 氏名)
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様
平素よりお世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。
私事で恐縮ですが、〇月〇日をもちまして退職する運びとなりました。
本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところ、メールでのご挨拶となり大変申し訳ございません。
〇〇様にはこれまでお力添えをいただき、心よりお礼を申し上げます。
〇〇様のさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。
取引先向け退職挨拶メール|後任者の紹介を含めた例文
後任者を紹介する場合は、相手に手間をかけないよう連絡先を伝えましょう。
例文
件名:退職のご挨拶(株式会社〇〇 氏名)
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。
私事で恐縮ですが、〇月〇日をもちまして退職する運びとなりました。
今後につきましては、担当を〇〇(後任者名)が引き継ぎます。
本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところ、メールでのご挨拶となり大変申し訳ございません。
後任者の連絡先は下記の通りです。
〇〇(後任者名)
メール:xxxxx@xxxx
電話:00-0000-0000
改めて今後につきまして、後任者よりご連絡いたします。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
取引先向け退職挨拶メール|一斉送信用の例文
複数の取引先に同時に送信した場合は、一斉送信用のシンプルな文面が適しています。個別送信とは異なり、一斉送信の場合は宛名や共通事項のみ記載するなど、相手への配慮が必要です。
例文
件名:退職のご挨拶(株式会社〇〇 氏名)
お取引先各位
平素よりお世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。
私事ながら、〇月〇日をもちまして退職することとなりました。
本来であればご担当者様へ直接ご挨拶すべきところ、メールでのご報告となりましたこと、お詫び申し上げます。
担当業務につきましては社内にて引き継ぎを進めております。
個別に確認が必要な内容は、担当者より順次ご連絡いたします。
末筆ながら、皆様のさらなるご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
取引先からの退職挨拶メールへの返信方法

取引先から退職挨拶メールを受け取ったときは、相手への感謝を踏まえた丁寧な返信が不可欠です。返信の基本マナーを押さえ、適切なタイミングで返信することで、その後の担当交代も円滑に進みます。
取引先の退職挨拶メールへの返信メールで押さえるべきポイント
取引先からの退職挨拶メールには、丁寧で簡潔な返信を心がけましょう。過度に長い文章はかえって読みづらくなるため、要点だけまとめたシンプルな文章が好まれます。
返信をするうえで、押さえるべきポイントは「感謝の言葉」と「相手の今後を応援する言葉」を伝えることです。感謝と応援の気持ちを込めた文章は、相手に良い印象を与えます。
また、返信は取引先との信頼関係を維持するうえで欠かせません。返信によって相手は安心し、担当者の変更手続きがスムーズになる効果もあります。
退職挨拶メールへの返信は、感謝と応援を簡潔にまとめた返信を送りましょう。
社外取引先向け|退職挨拶メールへの返信例文
退職挨拶メールの返信は、形式に沿いながらも温かさを感じる文面が適しています。特に社外の相手には、過度にカジュアルにならないように注意しつつ、これまでのやり取りに対する感謝を伝えると良いでしょう。ここでは、そのまま使える返信例文をご紹介します。
例文
〇〇株式会社
〇〇様
このたびはご丁寧なご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
これまでのご尽力に深く感謝申し上げます。
新天地でのさらなるご活躍、心よりお祈りしております。
返信不要の場合の対応
取引先からの退職挨拶メールに対し、返信しなくても良いケースも存在します。「返信不要」との記載がある場合は、相手がこちらの負担を考慮しているため、返信を控えても問題ありません。
一方、特に感謝を伝えたい相手には、短いお礼の文章を送っても失礼にはあたりません。相手の「返信不要」との配慮を理解し、シンプルな内容で返信しましょう。
余計なやり取りを避け、相手に負担をかけない姿勢が双方にとって良い関係をもたらします。
取引先への退職挨拶メール|よくある質問
取引先への退職挨拶メールについてよくある質問をまとめました。
- 取引先複数担当者への退職挨拶メールの宛名の書き方は?
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一つの企業に複数の担当者がいる場合は「〇〇様」「△△様」と個人名を連ねるのが一般的です。担当者が多く、連名で記載すると見づらくなる場合は「各位」を使用するのがおすすめです。「各位」は、皆様方のような意味合いで使い「ご担当者各位」としても問題ありません。
- 取引先から退職挨拶メールの返信が来た場合の対応方法は?
-
取引先から退職挨拶メールへの返信が届いたときは、感謝を伝える一文を返すのが基本的な対応です。受信したら返信するのが基本であるため、短くてもよいので丁寧に返しましょう。たとえば「温かいお言葉をいただき、誠にありがとうございます。今後のご活躍をお祈りいたします。」といったシンプルな文章でも十分に誠意は伝わります。
まとめ|取引先への退職挨拶メールのポイントまとめ
この記事では、取引先への退職挨拶メールのポイントを解説しました。
取引先への退職挨拶メールは、関係性を丁寧に締めくくるとともに、引き続き会社同士の信頼関係を継続するための大切なコミュニケーションです。押さえるべき項目を整理し、相手に失礼のない文面で伝えることで、引き継ぎが円滑に進み、円満退職につなげやすくなります。
退職の準備は、伝える順番や必要な対応の整理でスムーズに進みます。もし少しでも不安があれば、他の退職関連の記事も参考にしてみてください。

